会社勤めをしているのであれば、会社が給与から税金分をあらかじめ天引きしてくれているため、年末調整で支払い過ぎた分を返してもらえるという以外に、税金のことを考える必要はありません。しかし個人事業主や、まして会社を経営する身になれば会社として負担しなければならない税金も、経営者として納めなければなりません。ここで個人とは異なり、会社などいわゆる法人の場合には、法人税が課されることになります。経済活性化の目玉として法人税率の引き下げが話題になりますが、法人税と一口に言っても実は法人税と法人住民税と事業税という3種類の税から成り立っています。
法人税とは大雑把にいえば法人の事業に基づく所得、つまり法人が生み出す利益に対して課される税金のことです。会社の儲けに対して課せられるのであり、例えばいくら売掛金が大きくて決算書を一見しただけでは利益が大きく出ているように見える場合であっても、実際の手元資金は乏しいという場合もあるため、数字に騙されてはいけません。特に一人会社で、個人事業主と区別のつかないような意識で会社を運営していると、会社の資金と個人の資金のけじめがつかなくなってしまい、会計上煩雑な処理を行わなければならなくなったり、あるいは様々な所に透明な箇所が残るなど、税務調査で指摘を受ける恐れが高くなります。どんぶり勘定に慣れてしまう前に会社の資金の流れを自他共に明確に掴むことができるよう、しっかりと管理することが大切です。
また法人といえど本店を構えて活動しているため、その所在地における住民税が課せられます。個人の場合と同じく都道府県民税と市町村民税とが合算されたものであり、それぞれの都道府県や市町村によって定められた税率によって算定するため、納税地によって支払う税金額は異なります。具体的には法人税割と均等割という二つの部分に分かれて算定され、均等割については資本等の金額や従業員数を課税標準とするなど法人の規模に応じたものであり、たとえ法人としては赤字であっても、利益に関係なく納めなければなりません。
法人事業税とは、法人が事業活動を行う上で公共施設や道路などを利用するということから課税される地方税であり、都道府県に納めます。ただし法人の所得に対して課税されるため、所得が無ければ納める必要はありません。なお資本金あるいは出資金が1億円以上の法人の場合には、法人事業税の他に外形標準課税が別途課せられます。この外形標準課税は、所得や付加価値や資本金などを課税標準としているのであり、それぞれに税率が定まっているため、それぞれを算定して合算した金額を納めることになります。