以前は最低資本金制度として株式会社に資本金1000万円以上が義務付けられてましたが、今やその制度は撤廃されています。そのため資本金1円であっても株式会社を設立することが可能であり、融資をする側の金融機関から見れば、あてにできる資産のない株式会社よりも、預金を1000万円持っている個人事業主の信用度の方を高く評価する例もあるようです。このように会社という外見が必ずしも通用しない世の中になっているとはいえ、やはり取引相手には個人事業主を選ばないという大手企業も少なくありません。もちろん、この場合にも会社でありさえすれば良いということはなく、別途資本金が一定額以上という条件が付くようです。このような法人の設立には、定款の作成や公証人役場での認証を経て、法務局への登記申請が必要です。登記が完了すれば、商業登記簿に法人の商号と本店所在地が記載され、代表者の住所氏名も明らかにされます。代表者は会社実印を登録し、印鑑証明書を発行してもらうことができるようになるのです。そのため銀行では法人名義による口座を開設することができますし、代表者個人としてではなく法人として融資を受けることができる他、株式や社債の発行という形で資金調達をすることが可能になるのです。
最近ではIT化が社会の中で急速に広まりネットワーク環境も着実に整備されてきているため、個人であれ法人であれインターネット上に情報公開をすることによって、日本はおろか広く世界に向けて宣伝することができ、また集客効果を見込むことができるのです。更に現実社会での少数派が、ネット上では多数派を占めるという逆転現象も見られるため、どんなに規模が小さくてもアイデア次第で大きなリターンを得られるチャンスが広がっているのです。もっとも、このようなインターネット上の情報発信のためにはドメインの取得が必要になります。このドメインにはいくつか種類があり、「.com」や「.net」といった独自のものもあるのですが、「co.jp」は法人にしか許されません。そのため法人化をした証に、「co.jp」を取得して個人事業主との違いをアピールすることもできるのです。というのもネット上であればこそ、相手の顔が見えない中での取引にお互いの信頼関係はより一層必要とされるます。やはり法人化しているということは、それなりのメリットを得られるものなのです。
法人を名乗ることができるということは、人を雇い入れる際にも効果を発揮します。個人事業主であっても良い人材を見つけて雇い入れて、事業を育てる手助けをしてほしいと考えているものです。しかし残念ながら会社と個人事業主とでは、就職先としての魅力に大きな差が出てしまいます。求職者にとっては、就職先を決めるのに、個人事業主よりも会社の方が、生活の安定が得られるように思えるのです。夢を共有したくても夢だけで食べて行くことは出来ないのであり、事業を持続可能なものにする上で、会社の社会保険や様々な福利厚生を基礎とする生活の安定は、従業員にとってあるに越したことはないのです。